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もと @moto_ai_jp

第3部 出す · 第6回 / 全12回 · 10分くらい

配り方を選ぶ。App Store・直接配布・誰でも手に入る形

Mac のアプリを人に渡す方法は、大きく3つあります。どれを選ぶかで、かかる費用、待ち時間、自分が引き受ける仕事が変わります。この回では、Apple のドキュメントを根拠に3つを比べ、作りかけごとに配り方を決めます。

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この回を読み終えると、できるようになること

  1. App Store・直接配布・誰でも手に入る形の3つの違いを、費用・手続き・自分が引き受ける仕事で説明できる
  2. 直接配布で、署名と公証が要る理由を説明できる
  3. 作りかけごとに、最初の配り方を選べる

専門用語は、初めて出たところで括弧に短い説明を付けています。説明が長くなるものには ※番号を付け、ページの終わりの用語メモにまとめました。

13つの配り方

App Store直接配布誰でも手に入る形(GitHub など)
費用開発者登録 年99ドル+売上の手数料開発者登録 年99ドル(署名のため)無料
手続き審査を通す署名と公証なし(署名しないと開くときに警告が出る)
お金の受け取りApple が代わりに行う自分で用意する(販売サービスなど)基本は無料で配る
更新の配り方Apple が代わりに行う自分で用意する利用者が自分で入れ直す
向いている段段4・5段3〜5段3

Apple の開発者登録(Apple Developer Program)の費用は、Apple のページによると1年ごとに99ドル(地域によって現地の通貨で表示)です。

2App Store:任せられる代わりに、審査がある

App Store に並べると、支払い、更新の配信、見つけてもらう場所まで、Apple が引き受けてくれます。その代わり、審査ガイドライン※1に沿っているかの審査を通す必要があります。

個人開発で見落としやすいのが、プライバシーポリシーです。ガイドラインの5.1.1では、すべてのアプリが、どんなデータを集め、どう使うかを書いたプライバシーポリシーへのリンクを、ストアの情報とアプリの中の両方に置くことを求めています。データを集めないアプリでも、「集めない」と書いたページが要ります。

3直接配布:署名と公証が要る理由

自分のサイトなどからアプリを配る場合、macOS の Gatekeeper※2という仕組みが、開こうとしたアプリを確かめます。Apple のページによると、App Store の外から入れたアプリは、Developer ID の証明書で署名されているかが確かめられ、さらに Apple に提出して公証※3を受けておくと、利用者はより安心して開けるとされています。

署名も公証もしていないアプリは、開くときに警告が出て、慣れていない人はそこで使うのをやめてしまいます。段3以上で知らない人に配るなら、署名と公証は事実上必要です。

直接配布では、更新を配る仕組みも自分で用意します。Mac のアプリでは、Sparkle※4というオープンソースの更新の仕組みがよく使われています。

4誰でも手に入る形:いちばん手軽な段3

GitHub に置く、ウェブで公開する、といった形は、費用も手続きもありません。開発者向けの道具や、仕組みそのものを見せたいものに向いています。

ただし、アプリとして配る場合は、署名していないと開くときに警告が出ます。説明書(README)に開き方を書いておくか、ソースから自分で組み立てる人向けに限定するのが現実的です。スクリプトや設定の集まりのような、アプリの形をしていないものは、この形がいちばん合っています。

5選び方:まず小さく、あとで上の段へ

最初から App Store を目指すと、審査の準備(説明文、画面写真、プライバシーポリシー、審査への対応)で、出すまでの距離が一気に伸びます。

おすすめの順番は、次のとおりです。

  1. 段1〜3で出して、使ってくれる人がいることを確かめる
  2. お金を受け取りたくなったら、直接配布か App Store を選ぶ
  3. 支払いや更新を自分で引き受けたくなければ App Store、審査を避けたい・自由に価格を決めたいなら直接配布

開発者登録の年99ドルは、使ってくれる人がいることを確かめてから払っても遅くありません。

誤解よくある思い違い

Mac のアプリを配るには、App Store に並べるしかない

自分のサイトからの直接配布もできます。その場合は、Developer ID での署名と公証を行います。

データを集めないアプリなら、プライバシーポリシーは要らない

App Store の審査ガイドラインでは、すべてのアプリにプライバシーポリシーへのリンクが求められます。「集めない」と書いたページを用意します。

演習手を動かして確かめる

演習1

次の2つのアプリについて、最初の配り方を選び、理由を書いてください。

  1. パスワードを安全に保存するアプリ。売りたい。信頼が大事
  2. 自分用に作った、ファイル名を一括で変える小さな道具
答えを見る
  1. App Store(または署名・公証した直接配布)。パスワードを預けるアプリは、開くときの警告があるだけで信頼を失います。審査を通っていること、更新が確実に届くことが、そのまま安心材料になります。プライバシーポリシーも必ず用意します
  2. 誰でも手に入る形(GitHub)。まず同じ困りごとを持つ人がいるかを確かめる段階なので、費用も手続きもかけずに出します

頼み方そのまま使える頼み方の例

次のアプリの配り方を一緒に決めてください。
1. App Store・直接配布・誰でも手に入る形(GitHub など)の3つについて、このアプリの場合の費用・手続き・自分が引き受ける仕事を表にする
2. 最初の配り方と、上の段に進む条件
3. その配り方で出すまでに必要な作業(プライバシーポリシー、署名、説明書など)の一覧
アプリ:(何をするものか、売りたいか、誰に使ってほしいか)

用語メモ本文の ※番号の説明

  1. ※1審査ガイドライン(App Review Guidelines) App Store にアプリを並べるときに守る決まりをまとめた Apple の文書。安全性、性能、ビジネス、デザイン、法律の5つの分野に分かれている。 本文へ戻る ↩
  2. ※2Gatekeeper macOS で、インターネットから入れたアプリを開く前に、信頼できる開発者のものかを確かめる仕組み。確かめられないアプリは、開くときに警告が出る。 本文へ戻る ↩
  3. ※3公証(notarization) App Store の外で配るアプリを Apple に提出し、悪意のあるソフトが含まれていないかを自動で確かめてもらう手続き。通ると、Gatekeeper がそのアプリを安心して開けるものとして扱う。 本文へ戻る ↩
  4. ※4Sparkle Mac のアプリに、更新を確かめて入れる機能を足すための、オープンソースの仕組み。App Store の外で配るアプリでよく使われている。 本文へ戻る ↩

出典確かめた資料(2026年10月時点)

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