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もと @moto_ai_jp

第1部 なぜ出せないのか · 第2回 / 全12回 · 10分くらい

「出す」には段がある。いちばん小さく出す形を決める

「出す」と聞くと、App Store に並べることを思い浮かべるかもしれません。でも、出し方にはもっと手前の段がいくつもあります。この回では、出し方を5つの段に分け、作りかけごとに「いちばん小さく出す形」を決めます。

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この回を読み終えると、できるようになること

  1. 出し方の5つの段を言い、それぞれで手に入るもの・かかる手間を説明できる
  2. 作りかけごとに、いちばん小さく出す形を決められる
  3. 出す相手を「最初の1人」まで具体的に決められる

1出し方の5つの段

段出し方手に入るものかかる手間
1身近な1人に渡す(家族、友人)はじめての他人の反応ほとんどない
2作ったものを人に見える場所に書く(記事、動画)興味を持つ人がいるか文章や画面を整える
3誰でも手に入れられるようにする(GitHub、ウェブで公開)知らない人の使い方説明書、配る形を整える
4ストアや販売の場に並べる(App Store、直接販売)お金を払う人がいるか審査、署名、支払いの手続き
5続けて更新し、支える長く使ってくれる人更新、問い合わせ、互換性の維持

上の段ほど手間が増えますが、手に入るものも大きくなります。大事なのは、どの段からでも出せることです。App Store に出す準備が整っていなくても、段1や段2なら今日出せます。

2いちばん小さく出す形を決める

作りかけごとに、「いちばん小さく出すなら、どの段で、何を」を決めます。たとえば次のようにします。

  • 写真整理のアプリ:段1で、家族に自分のフォルダを整理してもらう
  • 音楽再生のアプリ:段2で、作った過程と画面の動画を記事にする
  • 小さな便利ツール:段3で、GitHub に置いて使い方を書く

決めると、出すまでに残っている作業が数えられるようになります。「完成させる」は終わりが見えませんが、「家族が自分で使える」は、何が足りないかがはっきりします。

3最初の1人を、名前で決める

出す相手は、「ユーザー」ではなく具体的な1人で決めます。「写真の多い人」ではなく「スマホの写真が1万枚たまって困っている、妹」。相手が具体的なほど、何が要って何が要らないかを判断できます。

Paul Graham の文章「Do Things that Don't Scale」は、うまくいったスタートアップの多くが、最初は利用者を自分から一人ずつ探しに行ったと書いています。利用者が自然に来るのを待っていては始まらない、と。個人開発でも同じで、最初の1人は自分から渡しに行きます。

4最初の1人の反応で、次に作るものが決まる

最初の1人に渡すと、自分では思いつかなかったことが必ず出てきます。ボタンの意味がわからない、思っていた使い方と違う、そもそも別のことに困っていた。どれも、手元で磨いているあいだは手に入らない材料です。

反応を聞くときは、「どうだった?」ではなく、使っているところを横で見るか、「最後に使ったとき、何をしようとして、どこで止まった?」と具体的に聞きます。「良かったよ」という感想は、次に何を作ればいいかを教えてくれません。

5出すのが怖いとき

出すのがためらわれるのは、多くの場合「まだ足りない」と感じるからです。その感覚は、たいてい正しいです。足りないものは、いつまでも残ります。

だから「足りないまま、小さく出す」ことに慣れる必要があります。段1は、失敗しても困る人がいない段です。そこで「出す」こと自体を何度かくり返すと、段3や段4に進むときの重さがかなり軽くなります。出すことにも、練習が効きます。

誤解よくある思い違い

出すとは、ストアに並べること

家族に渡す、記事に書く、GitHub に置く、も出すことです。どの段からでも、使った人の反応という材料が手に入ります。

最初は多くの人に知ってもらったほうがいい

最初の1人に深く使ってもらうほうが、何を直せばいいかがわかります。多くの人に届けるのは、そのあとで十分です。

演習手を動かして確かめる

演習1

次の作りかけについて、いちばん小さく出す形(段と内容)と、最初の1人を決めてください。

「Mac の画面の端に窓をきれいに並べるツール。主な機能は動くが、設定画面が未完成」

答えを見る

例:段3で、設定画面なし(決まった並べ方だけ)で GitHub に置き、使い方を README(リポジトリの説明書。最初に表示される)に書く。最初の1人は「ノートパソコンで窓をよく並べ替えている、知り合いのエンジニア」。設定画面は、その人が「この並べ方も欲しい」と言ってから作れば足ります。

頼み方そのまま使える頼み方の例

次の作りかけについて、いちばん小さく出す形を一緒に決めてください。
1. 出し方の5つの段(身近な1人・記事にする・誰でも手に入れられる・ストアや販売・続けて支える)のうち、今すぐ出せるいちばん下の段
2. その段で出すのに、残っている作業(3つ以内)
3. 最初の1人の候補(具体的な人物像)
4. その人に聞くべき質問を2つ
作りかけ:(何をするものか、今どこまで動くか)

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